184b09a41d86430f4477b395d1220f9b 小売業でのRFID活用事例8選


ECサイトなら、「よく見られている商品」や「買い物カゴに入ったけど買われなかった商品」など商品ごとに販売分析ができます。また、パーソナライズされたレコメンド機能で販促活動もできるのが当たり前です。
しかし、リアル店舗で同じ分析をするとなると、ぐっとハードルがあがります。まず「どの店舗にどの商品の在庫があるかを正確に把握」し、可能なら「手に取られたけど買われなかった」という情報までも取得しなければなりません。

オムニチャネル時代に、実店舗でもWEBと同様の分析、販促を行うためのツールとして期待されつつあるのがRFIDです。

目次

RFIDとは

RFID(Radio Frequency Identification)とは、RFIDタグ(ICタグともいう)と呼ばれる記録媒体に登録された情報を、無線電波によって直接接触することなく読み書きする仕組みのことです。身近な例では、JR東日本のSuicaや高速道路のETCカードなどがあります。スシローの寿司皿の裏に鮮度管理のために貼られているのもRFIDタグです。

RFIDの特徴は、主に以下の3点です。
・非接触でデータの読み出し(Read)、書き換え(Write)が可能
・電波・電磁界で交信するため、タグの表面が見えなくても読み書きが可能
・複数タグの一括読み取りが可能

物流管理でよく利用されているRFID

非接触でデータの読み書きが可能、複数タグの一括読み取りができるといった利点から、RFIDは物流管理のシーンで主に活用されてきました。入出庫時の検品や棚卸など、1件ずつチェックしていた情報を一括処理できるようになり、作業効率が大幅に改善します。

物流管理ではパレットごとや商品ケースごとに貼られていたICタグですが、これを商品ごとに貼ることで、工場~倉庫~物流~店舗のどの過程にその商品があるのか、店舗のどの棚に陳列され、レジまで持って行かれたのかを追跡できるようになります。また、店舗内では、一商品ずつ数えていた棚卸を一気に片づけることができます。

バーコードとRFIDの違い

日本の小売業で商品管理のために利用されているタグといえば、バーコードが思い浮かびます。バーコードの場合、1つ1つのコードをバーコードスキャナで読み取らなければならず、また、登録できる情報量が小さく、いつどこの工場で生産されたかなどの詳細情報を登録することがでません。もちろん、一度登録した情報を書き換えることもできません。

日本でよく見かけるバーコード(JANコード)は、ほとんどが企業コードで
商品アイテムを管理しているのは3~5桁に過ぎない

RFIDなら半導体のチップに情報を登録しているため、人手を介さず一括で複数の情報を読み取ることができます。また、必要に応じて登録する情報量を増やすことも可能で、情報の更新も容易です。無線通信のため、例えば商品棚にRFIDタグを読み取る装置をつけておけば、その商品棚にある商品の在庫が一定量を下回った場合に自動検知し、スタッフに補充を促したり、自動発注する仕組みを作ることができます。

ICタグの単価が下がることにより導入しやすく

RFIDは1980年頃から欧米で広まった技術で、日本でも研究が進められ、当初から小売現場での活用も期待されていました。しかし、当時は無線タグが大型であったこと、タグ1個1,000円以上することから、スーパーやコンビニで売られているような単価の安い商品1個ずつにつけることができませんでした。

しかし、アメリカ最大手小売のウォルマートが2002年に自社で取り扱うすべての商品にICタグを取り付けて管理することを発表したことを皮切りに、小売・アパレル業界での導入実験が進み、タグの単価も1個15円ほどまで下がり、日本の小売店でも導入を検討できるようになりました。

ウォルマートはジーンズや肌着にRFIDタグを取り付け
商品追跡、在庫管理の向上をはかる

小売企業のRFID活用事例

店舗業務の効率化やオムニチャネルを強く意識している企業では、小売りの現場にRFIDを取り入れています。いくつか事例を紹介しましょう。

TSUTAYA(本、CD・DVD)

http://japan.zdnet.com/business-application/case-study/35010272/

代官山 蔦屋書店では、DVDやCD、書籍などの主要商品にRFIDタグを装着。商品棚にもRFID読み取り用のアンテナを取り付け、RFIDと電子マネーに対応するセルフレジと組み合わせています。これまでバーコードリーダを用いて1個ずつ作業していた入荷検品やレジ作業、在庫位置情報管理の精度や作業効率を大幅に向上できると期待されています。

シップス(衣類、小物)

http://www.senken.co.jp/news/

シップスは、14年春に出店する新店舗にRFIDを試験導入し、売り上げ登録、棚卸し、入荷検品、出荷、万引き防止などの業務に利用・実証することを決定しました。2、3年後には全店導入を目指しています。RFIDの導入により、レジでの商品一括読み取りが可能となり作業時間の大幅短縮が可能となり、スタッフの作業時間短縮や接客時間拡大を実現できます。

ビームス(衣類、小物)

http://www.fujilogi.co.jp/news/2013/09/03/20130903.pdf

ビームスは、ファミリー向けの新業態「B:MING LIFE STORE」にRFIDを使った店舗運営システムを導入しています。洋服などの商品にRFIDタグを取り付け、入出荷や棚卸登録から売上登録までを一括管理。入荷時は箱ごと、もしくは陳列された棚のブロックやハンガーラックごと、清算時のカゴごとなどの単位で一気に読み取ることができ、従業員の業務効率が大幅に向上しています。

エゴイスト(アパレル)

http://www.mars-tohken.co.jp/solution/case/detail/rfid_egoist.html

ギャル系ファッションを展開するヤングレディスブランド「EGOIST(エゴイスト)」。RFIDの導入により売れ筋・死に筋商品の把握がしやすくなり、商品配列の工夫がしやすくなっています。また、これまで仕入・在庫・売上管理をFAXで情報伝達していましたが、手書きの数字のため読み間違いなどが起こっていたところ、システム導入により正確な管理が行えるようになっています。

Walmart(アメリカ/大手小売チェーン)

http://wired.jp/2005/10/28/

アメリカの大手小売りチェーン、ウォルマート・ストアーズは全米の納入業者上位100社に対して商品にRFIDタグを装備することを要求。RFIDタグが付いている商品は、付いていない商品の3倍のスピードで在庫を補充でき、在庫管理が格段に効率的になっているとのこと。レジ前では瞬時に精算できるためレジ待ち時間を短縮、売れ筋商品のABC分析もタイムリーに行うことができます。

METRO(ドイツ/欧州最大手小売チェーン)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060311/232276/

ドイツの小売最大手のメトロ・グループは、自社のスーパーマーケットの全商品にRFIDを付け、商品の入出庫および在庫状況の管理のほか、ユーザーの購入履歴の管理など包括的なSCM(サプライチェーン・マネジメント)の仕組みを作ろうとしています。ショッピングカートにはRFIDリーダーとディスプレイが組み込まれており、カートに入れた商品の製造元や金額などが表示されるため、ユーザーは合計金額を確認しながら買い物をすることができます。

J.C.Penney(アメリカ/大手百貨店チェーン)

JC Penney store, Aventura Mall

J.C.ペニーは全米に約1,100店舗を展開する百貨店チェーン店で、ウォルマートと並ぶ代表的なゼネラルマーチャンダイズストアです。レジの精算作業の効率化をめざし、全店の全商品にRFIDタグをつけスマホによるセルフチェックアウトの仕組みを構築しようとしています。

ディズニーワールド(アメリカ/テーマパーク)

http://khda.hatenablog.com/entry/2014/01/20/150416

アメリカのディズニーワールドでは、RFIDタグが入ったリストバンドを使って新しい顧客体験を提供しています。リストバンドを着用すると、入園、園内のアトラクション利用、食事、ショッピングなど、リストバンドをRFIDリーダーにかざすだけで済ませることができるのです。リゾート内のホテルのルームキーにも対応しており、園内や宿泊施設で財布やパス、カギを取り出さなくても過ごすことができます。

さいごに

小売はハードウェア、ソフトウェアどちらも変化の速い業界です。「小売り×ITの未来を考えるブログ」では、これからも新しいシステム、仕組みを紹介していきます。

この記事を書いた人
巻 千鶴

エスキュービズム・ホールディングス 業務推進室にて、財務/法務/経営企画などを担当。営業から始まり、カタログ編集長、Webサイトや印刷物のディレクションなど誰よりも幅広いキャリアを持つ。

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