title21 オムニチャネルについてもう一度考えてみる~後編・オムニチャネルの課題とミライ~


オムニチャネルについてもう一度考えてみる~前編・オムニチャネルの定義とは~では、改めてオムニチャネルの定義づけをしてみました。後編では、どのような課題があるのかを見ていきます。

3. オムニチャネルの課題

様々な企業でオムニチャネルは利用されつつありますが、同時に課題も多数あります。

1. 店舗とその他が争いになる

O2Oの時にはまだ良かったのですが、相互送客という概念が浸透すると、大きな課題となりうる問題です。
「店舗に紐付け、店舗のファンであったユーザにオムニチャネルシステムをおすすめし、一生懸命頑張って会員登録をしてもらったのに、お客様はお店ではなくWebで購入するようになってしまった。この結果、店舗の売り上げは減少し、そのお客様の売り上げ分はECに付くようになってしまった」
相互送客を掲げて運用しているシステムで、まず大きな壁となるのが、この問題です。
そのほかにも、お店のディスプレイを工夫し、お客様に注目してもらえるようになったのに、そのお客様は気になった商品をECで購入してしまい、店舗はショールームと化してしまった、など。この様な例は実際には想像されているよりも多いのです。

これらを解決する為には、「店舗と顧客の関係をシステム上でちゃんと管理する」「お客様の売上を店舗に還元する仕組みを作る」「売上以外の評価軸を用意する」といったアプローチが必要です。もちろんシステムとしてこれらを用意することはもちろん、これらを運用出来るように教育することも欠かせません。
言い換えれば、オムニシステムを敵にするのではなくお店の味方にすることが必要となるわけです。

2. 統括する部署がない

店舗とEC、コンタクトセンターなど同一の会社であっても多くの関係者がおり、解決方法も一筋縄ではいかないという課題があります。
これらを統括するには、ハンドリングする部署が必要になるでしょう。可能であれば、複数の部署に直接調整を掛けられる権限を持つ人がいることが望ましく、プロジェクト成功の為にはこの部署の存在が欠かすことが出来ないというケースもあります。
外部の企業にこれらの統括を委託する場合、相応の権限を委譲する必要性もあります。

合議制で進めようした場合、お客様のニーズを読み切れず企業都合のサービスとなり、本来成功するはずのものも上手くいかない、というケースも多々あります。

3. お客様は思っているよりも協力的ではない

メジャーなフレーズ「続きはWebで」。
はたして、このフレーズを見た方は、本当に続きをWebで見てくれているのでしょうか?
わざわざブラウザを立ち上げて、検索し、続きを見てくれる? いえいえ、実際にはそんなことは滅多になく、大体の場合において無視するか、忘れられて終わりです。
お客様は小売店が思っているよりも協力的ではなく、思っているよりも行動してくれません。

オムニチャネルのシステムでもそれは同じ事であり、「複雑な」システムでは、ユーザはなかなか利用してくれず、利用が進まないというケースも多々あります。
店舗で貰った登録コードを家に持って帰り、お客様自らマイページでコード入力を行うというシステムでは、家に帰るまでに登録コードの記載された紙を紛失したり、家に着いた時には忘れていたり、家に帰った時には登録のモチベーションを失っていたりと、様々なリスクが存在します。

こういった、お客様に負担を強いるような方法では、当然登録率も低く、オムニチャネルとしての機能も低くなりがちです。
従って、出来る限り受動的に、お客様が自分で動く事なく無自覚にアクションを起こすことが出来るように、顧客体験を設計してあげる事が必要となります。

このような数々の理由によって、オムニチャネルシステム自体の利用に大きな課題が生まれていると言えます。
これらの課題を解決し、お客様により適切に使って頂くことが可能なシステムとして、オムニチャネルシステムを有効に活用していくべきと考えます。

これからのオムニチャネル

さて、ではこれからのオムニチャネルはどのようになっていくのでしょうか?
オムニチャネルを利用した購買イメージを簡単に以下にまとめてみます。以下が全てではなく、もちろん一例です。
様々なストーリーを作り上げることが出来るのがオムニチャネルの強みですので、それぞれの会社毎に最適なストーリーはもちろん異なりますので、どのような顧客にどのような購買体験をしてもらいたいのか、それをしっかりと考え、戦略、ストーリーに落として頂ければと思います。

Aさんのオムニチャネル体験ストーリー

東京都内のオフィス街で働くAさん。会社帰りにアパレルブランドBのお店に寄りました。
気に入った商品を発見、思わずその場で衝動買いしました。店頭のPOPで「ブランドのアプリをインストールすると、次回に使える50%キャッシュバッククーポンをもらえる」そう。
お買い物をしたレシートの最下部に印刷されたQRコードから、すぐにアプリをインストールする事も出来ました。
アプリをインストールすると、購入履歴などもばっちり連携済み。後はメールアドレスと名前や生年月日などを登録すれば、すぐにでも使えるようになっていました。
帰りの電車の中で、アプリの設定を終えると、先ほどの購買に対するお礼のプッシュ通信がありました。
お店での購買にお礼アクションがあるのとは初めてのこと。このプッシュ通信と同時に次回利用可能なクーポンも入手。今日のお買い物でのポイントもついて、すぐにお得な体験する事が出来ました。

さらに次の日、昨日よりも気温が10度上がり、冬なのに春のような暖かさ。
昨日買った商品に合う、春物商品のレコメンドメールが届きました。スマホでぽちぽちと気になる商品をお気に入りに登録し、今日の帰りにも寄ってみようと思うAさん。

仕事帰り、Bのお店に寄ってみると、店員さんが昨日のお礼と、今日おススメされたレコメンド商品についての説明をしてくれました。またスマホには、お気に入りに登録した商品のうち、どれが今お店にあるのかが在庫情報が表示されています。
Aさんはこれらの情報を元に、色々とお買い物をすることが出来るようになりました……

まとめ

いかがでしたか?ECシステムと店舗、それだけではなく、コンタクトセンターや配送チームと連携することで、さらに近未来の購買体験を実現する事も可能な時代となっています。

オムニチャネルシステムを利用して、どのような顧客体験を生み出すのか。それらを改めて考え、是非とも事業拡大のための成長エンジンとして、オムニチャネルシステムをお役立てください。

この記事を書いた人
岩井 源太

株式会社エスキュービズム・テクノロジー ソリューション事業部 マーケティングアーキテクト
大学生時にITベンチャーを起業、後、Webインテグレーションを提供する株式会社デジタル・マジック・ラボ、アンカーテクノロジー株式会社を経て、エスキュービズムに参画。オムニチャネルをテーマとしたセミナー講師としても活躍。

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