eyecatch1-218x210 海外オムニチャネルの成功~先進事例にみる、日本のオムニチャネルの次の一手~


今回のブログでは、海外の最新のオムニチャネルの取り組みや成功事例をもとに日本との差を見つけ、今後の日本国内のオムニチャネルへの取り組みや指針についてお話が出来ればと思います。

1 日本と海外のオムニチャネルの差

日本でもオムニチャネルという言葉が浸透し、様々な取り組みや施策が生まれてきました。
日本の特徴であるといえますが、先進的な事例を重視し、どちらかと言うと「先進国の後を追う」ような所がまたまだあります。主たるターゲットはやはりアメリカであり、数年前のアメリカの状況が日本の今になっている、と言っても過言ではない状況となりつつあります。

さて、そこで日本とアメリカの差を比べてみましょう。

日本のオムニチャネルの主流

上図の「チャネル統合」の部分を施策として行っているのが現在の日本の主流です。ネットと店舗の統合によるマスタ類の統合がメインとなっています。
この段階で実現できるサービスは、ワンストップショッピング(店頭受け取り・客注・お取り寄せ)がゴールになっていますが、この先にはまだまだ取り組まなくてはいけない段階が続きます。

ポイント統合や顧客統合、というソリューションがまさにこのゴールに向けた取り組みのためのスタート地点である、と言えるかもしれません。

海外のオムニチャネルの主流

ネットと店舗がさらに細分化されています。
ネットの中に「ECとメディア・スマホ含」、店舗の中に「サイネージ・AR・接客・Beacon・スマホ」と、顧客の接点をさらに細分化して、かつ、最適化しながらも一貫性を持たせるため、施策のデジタル化に対する、取り組みと投資が最も活発化しています。

ここで、重要視されるのが、日本ではまだまだ数百億(のしかも下の方)の規模しかない、マーケティングオートメーション。細分化された顧客に対して適切なマーケティング・アプローチを手動でかける事はなかなか難しいため、システムを活用して手間を削減し、最大の効果を生むことが出来るように施策設定等を行う事が必要です。
その一方日本では、マーケティングオートメーションをPDCAで一貫して支援できるエージェンシーがとても少ないため、データサイエンティストと同様にその育成や普及が大きな課題でもあります。

2 海外の事例ケース

アメリカでの有名な事例をみていきましょう。

ケース1:バーニーズNY(高級ブランド)

ポイント iBeaconの導入による来店検知やプッシュ通知に向けた積極的な取り組み

バーニーズNYでは今年の2月の旗艦店オープン(マンハッタンのチェルシー)に合わせ様々なデジタル化への取り組みを実施しました。

その中でも特に注目すべきは、アプリ『The Window』です。

※iOSのみ

オンラインでも、オフラインでも、顧客と常につながることができ、Webでのお気に入りや、過去の購買リストからのレコメンドアイテムを店舗でプッシュできるようになります。
ショップスタッフ全員にiPadを携帯させて、デジタル接客にも力をいれております。
来店者がわかれば、iPad経由で情報を呼び出し、お客様一人ひとりへの接客ができますよね。

もう一点注目すべきは、(一時的かもしれませんが)ニューヨークの観光ガイドも配信している点。
直接自社に関係なさそうに思われるコンテンツですが、このような情報が『The Window』を介して配信されることで、アプリのダウンロード数の底上げや、ユーザーがアプリに触れている時間が増えることにつながり、結果エンゲージが高まっていくことを狙っているのかもしれません。 
日本では同様の取り組みをヤマダ電機や無印良品が行っています。

ケース2:メイシーズ(百貨店)

ポイント メイシーズのオムニチャネル戦略のキモは【セグメンテーション】だった!?

 

オムニチャネル=メイシーズ、というイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
メイシーズはオムニチャネル企業の代名詞のように取り上げられますが、実は、彼らは最初からオムニチャネルを目指したわけではありません。

どうして知っているのか、と言えば、筆者が直接アメリカで話を聞いたからです。
メイシーズのオムニチャネルへの取り組みの経緯はざっくり箇条書きすると以下です。
※話をお聞きしたのはもう3年前のため、数字に関しては少しあやふやです。ご容赦ください。

①アメリカ全土800万人に送っていたカタログのレスポンス(売り上げ)が右肩下がりだった。
②よくよく調べてみると
 ・昔からの顧客(シニア層)の売上は横ばい・微増
 ・消費のけん引役のはずのミレニアム世代(1980~2000年代生まれ)の売り上げが激減
③移民系の売り上げはなぜか好調

という結果だったとのこと。
調査してみると、カタログは毎年のルーティンとして、代わり映えしない取引先のその時の取り扱い商品を無難に並べて、印刷して、一方的に送っていただけだったそうです。   

移民系の方はそもそもメイシーズへの認知とエンゲージがあまりないので毎年新規が増えていくような感じです。
(好調ではありますが、全体の割合からして、母数は少ない)

④この結果を受け、世代や属性別にカタログをかなり細分化して作成し、属性に応じて送付
⑤売り上げは一気に2割増!だけどコストは3倍

結果は大赤字!……ですよね(当たり前)

⑥セグメンテーションの重要さは理解したが、コストもかけられないのでどうしようか……?
⑦ITを使ってカタログコストをさげながら、今以上のレスポンスを目指せないか??

 
ここで初めて、テクノロジーの活用、という手段を取りました。
        
メインターゲットとなるミレニアム世代は当然スマホ率も高く、かつ労働市場においてもメイン層です。
        
朝早い、夜遅い、消費意欲旺盛で価格にも敏感……そういうライフスタイルを持つ方々へのお買い物への利便性や体験向上を突き詰めていった結果、オムニチャネルという考え方やそのシステムのかたちにたどり着いた、というお話を聞くことができました。

メイシーズのオムニチャネル化への流れをまとめると……

①自社にとって本当に注力すべきお客様をわかっていなかった
  ↓
②したがって、まずはセグメンテーションを細かく行い、アナログで試行錯誤した。
  ↓
③結果に基づき、ITでオートメーション化した

という順序です。        

IT系のセミナーではどうしてもチャネルが統合されたソリューションの絵ばかりが出てきます。

しかし、

・自社にとって本当に大切な顧客はだれ?
・その顧客は何を望んでいる?
・そのためにどのようなITでおもてなしすべきか?

本来は上記のような大前提を基に、ITの話をすべきであると、改めて思います。

3 さいごに

同業界の友人に聞いたのですが、アメリカでは、もうオムニチャネルという言葉は廃れてしまっておりアメリカ最大のEコマースイベントであるIRCEの昨年のイベントの時点で出展社ブース含め、一文字もオムニチャネルという言葉を見なかったとのことです。
つまり、もうオムニチャネルは出来て当たり前で、それでいてそれは日本の現状のシステムよりももっと顧客理解をしようとするシステムです。

日本のオムニチャネルシステムは、どうしてもPOSはPOS、ECはEC、CRMはCRMとベンダーが分かれており、統合顧客DBを構築するのは困難を極めます。

しかしながら、世の中的には大きくない会社でも、オムニチャネル機能がPKG化された環境をワンストップでご提供できるようなIT企業や顧客DBを預かり施策から実行、KPI測定までワンストップまで事業者様と同じ目線で寄り添ってくれるマーケティングエージェンシーも少しですがあります。

皆さまがオムニチャネル戦略推進上、今一つブレイクスルーできないようでしたら改めて、顧客データを見直し、セグメンテーションを行った上で、本当の顧客とはだれか?ということを理解することが必要であると考えます。

オムニチャネルアプリ構築パッケージ「Orange Club」