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AKB48に学ぶ!オムニチャネル時代に必要な「5つのC」


企業がオムニチャネル化を進める上では、成功例から学ぶことが大切です。
アメリカではメイシーズ、韓国ではTESCOとオムニチャネル化に成功した例がありますが、日本の企業はまだ取り組み始めたばかりで成功事例はほとんどありません。

そんな中でアイドルとして大成功を収めたAKB48にヒントを求め、オムニチャネル時代に必要なことを学べるのではないでしょうか。

AKBはマーケティングの面からもビジネスモデルが注目されており、芸能人でCI戦略が成功した稀有な例といわれています。
一過性のブームの側面が強い「アイドル」でありながら、ブレイクした08年から5年近くも芸能界の最先端を走り続けるのは、時代にマッチしたビジネス戦略が背景にあるです。

今回は、そのことを「オムニチャネル時代到来 無数の顧客接点を創造・統合し真の価値を提案せよ|オムニチャネル時代の「体験」マーケティング戦略|ダイヤモンド・オンライン(※2)を参考にさせていただき、オムニチャネル時代に必要な「5つのC」(Content:コンテンツ、Community:コミュニティ、Commerce:コマース、Context:背景、Customer:顧客)の観点から紐解いていきたいと思います。

Cその1:コンテンツ(Content)を作りあげよ

ここではAKBを商品として取り上げ、アイドルとしての彼女らの商品性や他商品(従来のアイドル)との違いを考えたいと思います。

商品開発番号のようなグループ名

AKBに結成当初から明確なビジネス戦略があったことが、プロデューサーである秋元康氏がグループ名の由来を語った際の「『おニャン子』とか、何か単語が入ると、古くなるので、商品開発番号みたいな無機質なものにしたいという思いがあった」という言葉に表れています。
人気が出てもそれが一過性なものであった従来のアイドルから、継続した人気を前提にしたアイドルを作ろうとしたことが伺えます。

「会いに行けるアイドル」というコンセプト

AKBは専用劇場である「AKB48劇場」を持ち、「会いに行けるアイドル」をコンセプトとしてチームごとに日替わりでほぼ毎日公演を行っています。マスメディアを通してしか見ることができない遠い存在だった従来のアイドルとは一線を画し、AKBは存在を身近に感じることができ、成長していく過程をファンに見てもらい、ファンと共に成長していくアイドルとされています。

東京、秋葉原にあるAKB劇場 ※3

「会いに行けるアイドル」を実現するためのローカル化とグローバル化

AKBの系列グループとして、国内では名古屋市の栄を拠点とする「SKE48」、大阪市の難波を拠点とする「NMB48」、福岡市を拠点とする「HKT48」といった姉妹グループが各地方に展開されています。これは前述の「会いに行けるアイドル」というコアコンセプトとリンクしています。同時に系列グループは中国やインドネシアといった日本国外へも進出するなどのグローバル化も進めています。

インドネシア、ジャカルタで活動するJKT48  ※4

企業が売上の増加を考える際には、これまでの慣習や価値観に捉われないことが重要です。現状では満たされてないニーズを発掘し、明確なコンセプトの基にコンテンツを作り上げることが業界で一歩リードするために必要となります。

Cその2:コミュニティ(Community)を創造せよ

AKBはファンとの関係性をどのように構築しているのか、コミュニティの側面から詳しく見ていきたいと思います。

ファン同士は結びつきたい

AKBは専用劇場を設置して公演を行うことでファンとの距離を縮めることに成功しましたが、同時にこれはファン同士の結びつけを強めることにつながりました。
劇場前のロビーは見知らぬファン同士が知り合うきっかけとなる空間として機能しており、オンライン上でも、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなどを利用して交流を深める動きが見られます。

ファン=コミュニティから学ぶ姿勢

また運営側はファンの意見を運営に取り入れることに積極的です。特に初期段階は運営スタッフ側に芸能関係の経験が少なかったこともあり、チケットの販売・抽選や整列の具体的な方法などについてファンからアドバイスを受けていました。
プロデューサーの秋元康氏は、オンライン上に書き込まれた公演についてのファンの生の反応を参考にしていました。

メンバー同士のコラボレーションによる人気の波及

AKBメンバーがそれぞれ書き込む個人ブログはファンとの交流の場として機能しています。それだけでなく、ブログに他のメンバーに関する記事や情報を載せることで、ファンが他のメンバーのことを知ったり、興味を持つきっかけとなっています。
AKBは正規メンバーの他に研究生(練習生)や前述の姉妹グループも含めると数多くのメンバーを抱えています。またオーディションに受かって新たに加入するメンバーもいます。新たにお気に入りのメンバーを見つけることは、ファンにとってAKBを応援し続ける誘引剤となります。
つまり商品同士をコラボレーションさせ、顧客が新たな商品を知るきっかけを作り、ロイヤリティの維持につなげているのです。

メンバーのブログ。ファンにとって交流の場となっている。 ※5

企業と顧客(コミュニティ)とが協力し合うことができれば商品、サービスの向上につながるのです。

Cその3:コマース(Commerce)を統合せよ

コマースとはオムニチャネルの文脈においてはネット、リアル店舗といった様々な販売チャネルという意味で使われており、販売チャネルをいかに統合し、価値ある顧客経験を生み出すかが課題となっています。
AKBは「会いに行けるアイドル」であり、そしてファンが「会いに行きたくなる」様々な仕掛けを用意しています。これはオムニチャネルやO2Oにおける「ネットから店舗へ」という考えに似たものがあります。

「会いに行きたくなる」仕掛け

AKBのビジネスモデルとして有名なものに「握手会」があります。この握手会はCD購入者を対象にしており、ファンがメンバーと直接握手や会話ができる数少ない機会としてシングルCDのリリースに合わせて定期的に実施されています。
またコンサートや後述する選抜総選挙のようなイベントへの参加権も同じようなにCD購入の特典となっています。

握手会で交流するメンバーとファン ※6

これはつまりCD販売(オンラインでもオフラインでも)というチャネルから別チャネルにつなげる仕組みができているということです。
現状では「会いに行きたい」からCDを買うという流れがクローズアップされてはいますが、この手法は音楽業界では広く取り入れられおり、CDの収益からライブコンサートなどによる収益につなげる本来的な役割を果たすことが可能なモデルです。

無料のチャネルから有料のチャネルへ

AKBは無料動画配信サイトであるYouTubeも上手く活用しています。PV、ライブ告知、テレビ番組のアーカイブなどのコンテンツを、楽曲の発売前であっても積極的にYoutubeで公開しています。無料の動画を存分に楽しんだ顧客はさらなる購買意欲を刺激されます。これはフリーミアム・モデルの戦略を彷彿とさせます。

AKBはYouTubeに公式サイトを所有している ※7

顧客を「ウェブから店舗へ」というように別チャネルに移動させたければ、顧客のモチベーションに目を向ける必要があります。単純な値引きやお得感だけが顧客のモチベーションではありません。より楽しむことができる、より良い商品やサービスに出会えるといった期待感を提供することを検討しましょう。

Cその4:背景(Context)を構築せよ

AKBは数多くのファンに支えられていますが、ファン一人ひとりにそれぞれの背景(context)があることを理解しなくてはなりません。そして、一人ひとりのファンが背景を持つことを可能にしたこともAKBの特徴です。

AKBはメンバー一人ひとりが商品

AKBは学校のクラスをそのままアイドルにしたような、個性バラバラのメンバー構成が魅力です。ハイクオリティの精鋭だけを揃えず、ファンにとって自分のお気に入りを選べる喜びを用意したのです。商品のバラエティを充実させることで運営側(売り手)もオススメメンバー(オススメ商品)を操作しやすく、様々なプロモーションを行うことができます。
決して高価で主役級の商品だけを揃える必要はないということです。

応援したくなる仕掛け作り

ファンそれぞれの背景とは何でしょうか。前述したようにファンには自分のお気に入りのメンバーがいるということです。しかし、それだけでは従来のアイドルグループのファンも同じでした。AKBが従来のアイドルと異なるのは「選挙」という仕組みにより、より能動的にファンがメンバーの応援にコミットできるようにした点です。
AKBは人数が多いため、メンバー全員をテレビ番組に出演させるのは困難です。そこで選抜総選挙という名のファン投票により、メディアへの露出がより多いコアメンバーを選んでいます。

テレビ放送される総選挙。
一位になったメンバーはセンターとしてAKBの顔になる ※8

アイドルとファンによる物語の構築

ファン投票によりメンバーの人気を明確に数値化・序列化するのは、アイドルグループの歴史上ではAKBが初めてでした。
これによりファンは自身の働きかけによりメンバーを積極的に応援することができ、メンバーはそれに応えるべく奮起し努力するという物語性が生まれました。
選挙のプロセスはファンにとって重大な関心ごととなり、お仕着せや予定調和でないリアルな競争にファンはこれまでにないエンターテイメント性を感じ取っています。
ファン自身の手でメンバーを選ぶというのは画期的であり、AKBが芸能界で人気を保ち続ける最大の要因といえるのではないでしょうか。

企業は顧客に「いかに売るか」だけでなく、顧客の購入目的や背景にまで踏み込むことが必要です。顧客が商品を購入することにより広がる可能性を示すこと、つまり購入するための背景を「いかに提案するか」が重要になるのです。

Cその5:顧客(Customer)目線であれ

ここまで4つのCをご紹介してきました。
AKBはコアコンセプトのもとでコンテンツを作り上げ、メンバーやファンとのコミュニティから相乗効果を生み出し、画期的なコマース(販売モデル)を構築し、ファンにとって新しいコンテクスト(応援スタイル)を提供することで高い人気を維持し続けています。

これらの事実から一貫して言えるのは、AKBはファン志向=顧客志向であるということです。
芸能界とは盛衰の激しい業界であり、人気を保ち続けるのは至難の業です。その中でAKBが第一線で活躍し続ける秘訣は、ファンの意思をダイレクトに反映する仕組みを作り上げたことにあるといえます。

企業にとって顧客とは商売相手ではなく、協力して体験を創造できるパートナーであるという認識に立つことこそが今後求められていく真の顧客目線ではないでしょうか。

引用元

オムニチャネルアプリ構築パッケージ「Orange Club」